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【独占】解き放たれた「Mythos 5」。開発者が語る“覚醒”の舞台裏
2026年6月10日 18:06
Anthropicは6月9日(米国時間)、4月にプレビューとして限定公開した“Mythos”級の性能を持つ最先端のAIモデル「Claude Fable 5」と「Claude Mythos 5」を発表した。これに合わせて、日本時間の6月10日に東京都内で「Code with Claude 2026 | Tokyo」という開発者イベントを開催した。なお、本稿はただのイベントレポートではなく、本稿後半ではモデル開発者への独占インタビューも掲載する。
基調講演では、Claude Platformエンジニアリング責任者のKatelyn Lesse氏が挨拶し、Fable 5とMythos 5の特徴について紹介。ソフトウェアエンジニアリング、知識労働、ビジョン、科学研究など、多くのベンチマークで業界最先端の性能を誇るモデルであることをアピール。
一方で、AIは急激なカーブを描きながら進化しているのにも関わらず、人間の作業効率の進化は直線的である問題を指摘。そのギャップを埋めるために、開発者に対して包括的なプラットフォームも提供していることを説明した。
続いて、Research and Labsプロダクトマネジメント責任者のDianne Penn氏が登壇し、Fable 5とMythos 5の特徴について解説。優れたコーディング能力やビジョン(視覚)を持つことや、自律型のエージェントを実現するため、長時間タスクを継続できる能力を持つことがアピールされた。
また、Claude Platformプロダクト責任者のAngela Jiang氏は、Claude PlatformではAIエージェントを実行するためのハーネス、100万トークンのコンテキストウィンドウやメモリ、スキル、ドリーミング機能を備え、複数のAIエージェントが長期的に協調動作し、複雑なタスクを遂行できると語った。
最後にClaude Codeプロダクト責任者のCat Wu氏が登壇し、コーディングツールのClaude Codeは、CLIだけでなくグラフィカルなUIなど、さまざまな形態で提供しており、それぞれを好みやシーンに合わせて自由に行き来できることや、複数のエージェントを管理する機能を備えていることを披露した。
マイルストーンに達したFable 5とMythos 5の次にAnthropicが目指すところ
基調講演終了後、モデル開発を担当しているDianne Penn氏にインタビューをする貴重な機会が得られたので紹介したい。Penn氏(以下敬称略)はAnthropicに3年間在籍し、長らくモデルの開発に携わっている方だ。
――4月にClaude Mythos Previewがリリースされましたが、あまりの性能に悪用を恐れて一般公開を避けてきたと思います。この2カ月間で一般公開に踏み切ることができた理由をお尋ねしたいです。
Penn:はい、これまでアクセスを制限してきたが、一気に一般層に届けられたのは、ひとえに安全かつ大規模に利用可能にするために、インテグレーションと安全面において集中的にリソースを投資してきたからです。
もちろん、弊社は安全に関する長期的なガバナンスはありますが、直近の2カ月はそのエンジニアリングにリソースを注ぎました。安全面においてもAIを活用し、イノベーションを投入してきました。
――AIがAIを自己改善していくことについて先日発表がありましたが、それによって人間が介入する機会が減り、リスクが上がっていくのではないかという懸念も指摘されました。Mythos 5の投入によって、これがどう変化していくと思いますか。
Penn:Claudeのモデルが反復的に学習して、モデルを自己改善できるようになったのは事実ですが、そのおかげで、人間はモデルの設計や、モデルが正しい結果に導いているかどうかの評価、そしてモデル品質の測定に時間を割くことができるようになりました。
つまり、目標と結果を照らし合わせたときに、戦術的な采配やモデルの検証により多くの時間が割けるようになったのが成果だと思っています。
――今、ローカルのPCでAIを実行できるようになっていますが、御社はまだローカルで使うためのモデルの用意がありません。これについて今後は用意する予定はありますか。
Penn:ローカルモデルのメリットについては、2つの要素があると考えています。1つはコスト効率で、もう1つはオンプレミスによるセキュリティです。
コスト効率という観点からいえば、弊社はHaikuやSonnetといったモデルを用意しており、これによって対応したいと考えております。一方でセキュリティの観点からいえば、弊社が用意するウェイトの規模の問題とモデル自体の安全性の問題の2つの課題があると考えており、現時点では回答を用意できていません。
我々はGoogleやOpenAIと比較して規模が小さい分、開発リソース配分の優先度を明確に設定しています。現時点ではクラウドのフロンティアモデルを最優先しているのです。
――5月末、NVIDIAは「RTX Spark」を発表し、(クラウドモデルを使わず)「ローカルでAIエージェント」を実行する機運が高まりました。このような状況に対して御社はどのように考えていますか。
Penn:自律型AI駆動のPCやロボットを操作するAIなど、「ハードウェアを纏ったAI」というのは大変興味深い分野であり、まだ黎明期なので、特に2026年後半から2027年にかけて、業界の投資が集中する分野だと思っています。
ただ、私たちの事業規模には少し遠いです。我々の規模では当面、ソフトウェアを使うナレッジワーカー、オフィスワーカーと協働するAIに注力していくことになるかと思います。
――今の課金モデルは基本的に消費トークンベースです。この場合、たとえばコーディングでは、成果が得られていないのに課金したトークンを消費し尽くしてしまい、納得しにくい開発者も一定数いそうです。代わりに成果報酬型のモデルを導入するという予定はありますか。
Penn:顧客対応のためのAIエージェントではそのような課金モデルを採用した事例があります。それがIntercomの「Fin」というもので、案件が解決したら99セントといったような課金モデルです。
一方で、ソフトウェア開発においてそういった成功報酬型は難しいと考えています。AIのコーディングを絶対的に評価することが難しいからです。たとえばビギナーにとって「十分だ」と思えるようなコードでも、ベテランにとってみれば「まだまだ」という評価を下すかもしれません。そうした人間のインテリジェンスを求めている分野において、成功報酬型の導入は難しいと考えています。
――今回のFable 5とMythos 5のリリースをもって、大きなマイルストーンに達したと思いますが、この次は何を目指しますか。
Penn:まずはMythos 5に対して、信頼できるアクセスを広げていきたいと考えています。具体的にはサイバーセキュリティやバイオロジーといった、Mythos 5の能力が生かせる分野です。強力なモデルは研究者に多大な利益をもたらす一方で、悪用されてしまう危険性もあり諸刃の剣だといえます。我々はアクセスを許可しながら悪用を防ぐことで、ちゃんと使ってくれる研究者にMythos 5の恩恵を届けたいと思っています。
また、今後もモデルのコスト効率を追求しつつ、モデルをさらに進化させていきます。Fable 5やMythos 5は、制約を設けてタスクを遂行することが得意だが、予測や予想はまだまだ苦手です。そういった判断能力の向上が課題になるでしょう。また、ビジョンやオーディオもまだまだ改善していく余地があると考えており、来年(2027年)の「6」シリーズやその後のモデルで進化させていく予定です。
――最後に、ヘビーユーザーの方向けのメッセージをお願いします。
Penn:今回、Fable 5とMythos 5に対してポジティブな早期フィードバックがとても多いな、と感じました。私は入社してから3年間、ずっとモデルの開発に携わってきましたが、ここまでポジティブなフィードバックが得られたのは初めてです。
これまでAIに聞いても解決しなかったような複雑怪奇な質問を、ぜひFable 5やMythos 5に投げてほしいです。そして、もっとたくさんのフィードバックをお寄せください。














































